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    「さうです。――どうかなさつたかね」

    「何だらう、山師を煽おだてて又一儲けしようてんだらう」

    「さうです」

    わきから又誰かが冷かした。

    今泉にはやつと徳次の考へていることが判つたので、熱心に説明した。

    房一はその時、これは思つたより以上に面倒だな、と感じた。この場だけを円めればいゝといふわけにはゆくまい、云ひがかりをつけられるかもしれぬ。それから、徳次をこの場から去らせても後で鬼倉の配下の者に狙はれるかもしれぬ、といふことを突嗟とつさに考へた。彼は腹をきめた。そして、相手の顔に目をつけながらゆつくりと答へた。

    「さうですか」

    「捕虜が内地へ送られるさうだよ」

    尿には蛋白質はなかつた。排便を顕微鏡でのぞいてみた。いる、いる。蛔虫に十二指腸虫の卵がうんとこさ見えた。

    「へえ、――どうもごていねいなことで――」

    「あれですかね、やつぱり自分で歩かなくちやいけませんかね」

    正文はそれきり黙つた。だが、練吉の妻はまだそこに片手をついたまゝ、何か答へを待つやうに老医師の方を向いていた。その眼には何か訴へるやうな非難するやうな色が見えた。正文はふと気づいた。

    「消防演習だ?ふむ、よからう。そんなら訊くが、かうしてみんな集つて騒いでいるのは何のためだか知つてるか」

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